日本の製本用具の機能性IV
「竹ユビワ」(竹指輪)
表紙貼りの折返し作業に便利なのが「竹ユビワ」です。昔、手作業で表紙貼りをしていた頃、職人は自分の指に合った竹ユビワを持っていました。指に嵌めたまま作業するので「竹ユビワ」と呼ばれました。糊付けした表紙クロスの四方を折り返す際に、丈夫な紙をあてがって竹ユビワでこするようにして貼り込みます。作業性が良く、手早く確実に表紙貼りができます。たかが竹を輪切りにしただけのような道具ですが、使い易さは抜群です。
紙折りや、糊付け作業後のこすり込みなどにも使います。紙折りでは折り目をはっきり付けることができ、また貼り込みした後にこすり込むことで確実に接着できます。
(2019年10月)*写真/竹ユビワ(右端は数十年使い続けている愛用品)
