日本の製本用具の機能性Ⅲ

「糊刷毛」

製本の作業、表紙貼りや見返し糊入れなどで刷毛は多用されます。欧米で使用されている刷毛は毛を束ねた状態の「丸刷毛」ですが、日本で使用されている刷毛は毛を並べ揃えた状態の「平刷毛」です。

日本の糊刷毛には用途に応じたいろいろな大きさがあり、小さいもので7.5cm幅、大きいものでは30cm幅のものもあります。糊刷毛は馬の尻尾で作られていますが、極上品になると毛先がすっと整い数ミリ幅の糊入れもたやすくできます。このような糊差し作業は「丸刷毛」ではできません。

広い面積に手早く均一に接着剤を塗る作業は、「平刷毛」の方がはるかに使い易いと思います。「丸刷毛」の場合は、手首をきかせて手早く何度も動かしながら塗り広げていきますが、「平刷毛」はすうーっと横に引くだけで均一に手早く糊を塗ることができます。作業性の良さがまったく違います。

製本では布(紙)の裏打ち作業をすることも多いですが、裏打ち紙に手早く、薄く、均一に糊を塗る作業は「平刷毛」がはるかに勝っています。「丸刷毛」を使用しての糊付け作業の映像を観たことがありますが、とてもぎこちなく見えてしまったのは道具の「違い」ではないかという気がしました。

ヨーロッパの木工職人が、日本の機能性に富んだ「鋸」や「鉋」を取り入れているのをテレビ番組で観たことがあります。外国の製本職人も「平刷毛」を使ってみればその良さが分ると思います。

(2019年8月)*写真は平刷毛と丸刷毛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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